2011年度 マッキンリー登山(5/23-6/9)

メンバー: 佐々木 宮津 小林 玉川 三谷OB 三戸呂OB 川村OB

5月23日(月) 【日本-アンカレッジ】

 10時に部室へ集合する。予約した小型バスがリバティータワー前に到着するため、リバティータワーの前に荷物を運ぶ。広報課の方が2名と飯田部長先生、高野OB、谷山OB、1年生の宮原が見送りに来て下さる。集合写真を撮影した後、11時30分に成田国際空港に向け出発する。その際に飯田部長先生と宮原も成田に同行する。空港に到着後、チェックインをして、手荷物以外の大きな荷物を全て預ける。空港には、大川OB、節田会長が来て下さる。搭乗まで時間が空いているため、全員で昼食をとる。その後見送りに来ていただいた方々と分かれ、搭乗しシアトルに向かう。シアトルではアンカレッジ行きの飛行機に乗り換える際、係員に麻袋に入れていた荷物の中身を確認され、ビーフカレーを14食分抜かれてしまう。その他の物は特に問題なく、アンカレッジ行きの飛行機に乗る。アンカレッジ到着後、荷物を回収したところ、1つ足りない。受付で荷物について質問するが、届いていないようであったため、調べてもらうようにお願いをする。空港の出口には加藤さんが迎えに来て下さっている。荷物が多いため、加藤さんの車と、タクシー2台で加藤さん宅へと向かう。到着後、OBと学生で分かれて2つの部屋を借りる。登山準備は翌日から行うこととする。夕食は加藤さん宅から近いレストランでハンバーガーを食べる。その後全員でミーティングを行い、就寝する。

5月24日(火) 【準備1日目】

 起床後、全員で近くのカフェに行き、朝食をとる。その後は日本から持ってきた食糧を実動別に分ける作業を行う。準備は加藤宅のガレージと、駐車場をお借りして行った。14時頃に加藤逸郎さんが帰宅されたため、隊員がご挨拶をし、その後加藤さんと昼食をとるため車で移動する。昼食は日本にもチェーン店があるサブウェイで食べる。その後アウトドアショップに向かい、器具や個装の買い付けを行い、スーパーでペミカンの材料と、夕食はバーベキューをすることとなったため、その材料も購入する。野菜や肉は量の割に安い。加藤宅へと戻ると、バーベキューを始める。肉や野菜をたくさん焼いて食べ、ご飯も出していただき、全員で話しながらの夕食は、とても楽しいひとときであった。バーベキューを終えた後はミーティングを行い、就寝する。

5月25日(水) 【準備2日目】

 起床後、朝食を加藤宅でいただく。本日も晴れており、窓から見えるスリーピングレディーという山がとてもきれいである。午前中はレーションや飲料を実動で分ける作業を行う。その後は昨日に購入した野菜でペミカンを作る。今回は学生が合宿で作っているものと違い、バターを使用する。さらに肉は、味に飽きないように牛、豚、鶏の3種類を作る。調理はガレージ、駐車場をお借りし行った。ペミカン作りには約3時間かかった。丸1日で器具、食糧の梱包を終えることができた。晩にミーティングを行い、就寝する。

5月26日(木) 晴 【Pre1:アンカレッジ-タルキートナ-ランディングポイント】

 起床後、朝食をいただく。荷物をまとめ9時に加藤宅を出発し、タルキートナへ向かう。約3時間程でレンジャーステーションに到着し、全員でオリエンテーションを受ける。オリエンテーションでは登山中の注意事項などの確認をレンジャーから説明を聞く。その後は自分達の荷物の重量を量り、準備を済ませ、昼食をとる。昼食はレストランでマッキンリーバーガーという、ボリュームのあるハンバーガーを食べる。昼食後はフライトまで時間があったため、植村直己さんの遭難碑(プレート)があるところまで行き、全員で手を合わせる。最後に財布やパスポートなどの貴重品をレンジャーに預け、2台のセスナでランディングポイントまで移動する。セスナでの移動は約30分程度であったが、外の景色が徐々に白く、険しく変化していった。ランディングポイントに到着すると、まずリサという、ランディングポイントに駐在している女性からガソリンを合計7ガロン(隊員1人1ガロン)と、ソリを7つ受け取る。その後は整地、テント設営をする。

5月27日(金) 快晴 【実1:ランディングポイント-C1】

 スノーシュー、ハーネス、ザイルをつけ出発する。C1まではカヒルトナ氷河の本流を進むため、クレバスに注意して歩く必要がある。また、気温が高くなると雪が融けて、危険性が増す。ルートに関しては、トレースがしっかりとついており、辿るようにして進んでいく。ランディングポイントから進み、カヒルトナ氷河の本流を目指している際に雪が降り始めるが、本流に出るころには止み、日も当たるようになり、とても暑くなる。カヒルトナ氷河から見る周りの山々は日本で見る山容とは異なり、特にスケールの大きさに関しては断然こちらの方が大きい。そのため歩いていても進んでいる実感がわかない。1時間に1回程度の小休止をとりながら進む。休憩中には、日焼け止めをこまめに塗り、水分補給も意識的にするよう心掛ける。ザックとソリに荷物を入れて進む際は、荷物の分け方が大きなポイントとなる。個人差はあるが、ソリの方がやや重いくらいがちょうど良い。ほとんどの隊員がスノーシューやソリを引くことが初めてであるため、途中で止まってしまうこともあったが、無事C1へと到着する。

CT)ランディングポイント(9:20)-カヒルトナ氷河(10:30)-C1(16:00)

5月28日(土) 晴時々雪 【実2:C1-C2】

 昨日と同様にスノーシュー、ハーネス、ザイルをつけ出発する。C1のすぐ先には、昨日には無かった、やや急な斜面を登る。歩き出しでの急斜面であるため、ゆっくりとしたペースで登っていく。急斜面の途中、2700m付近に大きなクレバスが空いていたため、C1での排泄物をそこへ投げ入れる。そのクレバスはとても大きく底が見えない。そのまま進んでいくと、2度目の大きな急登に差し掛かる。そこを登り切るとあとは平坦な氷河となっている。1時間に1本休憩を入れる程度で登って行き、C2に到着する。

CT)C1(8:52)-C2(12:50)

5月29日(日) 晴後雪 【実3:C2-C3】

テント撤収後、スノーシュー、ハーネス、ザイルをつけ出発する。早朝は雪面が固くなっており、歩きやすい。昨日から引き続き、急斜面と平坦な箇所が連続で続く氷河を進む。カヒルトナパスの手前まで、カヒルトナ氷河を歩き、その後はウィンディーコーナーに向かって東にルートが大きく曲がる。東に向いてからは、今までで最も傾斜のある斜面を順調に進み、C3に到着する。C3では信州大学のパーティと出会う。信大パーティはその後すぐに下山されるとのことであったため、合同で記念撮影をした。

CT)C2(8:50)-3100m付近(11:30)-C3(12:10)

5月30日(月) 晴時々雪 【予備1:休養】

 本日は、現時点で実動を順調に消化していて、高度もそれだけ上がっているため、高度に順応するため休養とする。朝食を定時にとり、その後は荷揚げの準備をする。ガソリンの消費量が予定より多いという話がミーティングで挙がっていたため、米の量を減らし、ガソリンの使用量を減らす。

5月31日(火) 晴時々曇 【実4:MC荷揚げ】

本日はサブ行動のため撤収がなく、予定より1時間早く準備が終わり、アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。モーターサイクルヒルまでの急斜面を一本で登る。ソリを着けていないため歩きやすく感じる。モーターサイクルヒルからウィンディーコーナーまでのトラバースでは風がかなり強く、風速は最高18m/sにも及んだ。突風に注意しながら慎重に進む。ウィンディーコーナーから先は平坦になる。落石やクレバスに注意しながら進み、MCに到着する。その後デポする官物を集め、深さ1mくらいの穴に埋める。30分程の大休止をとり、高度順応も兼ねて、MCから数百m離れた場所にある崖(エッヂオブザワールド)へと向かう。写真撮影した後MCへと戻り、C3へと引き返す。ウィンディーコーナーからは急な下りとなるため、慎重に下りC3へと帰幕する。

CT)BC(8:07)-モーターサイクルヒル(9:08)-MC(12:23-13:54)-C3(15:30)

6月1日(水) 曇後雪 【実5:MC入り】

撤収後、デポする官物や私物を深さ1m程の穴に埋める。その後アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。天候は昨日からより安定していて、モーターサイクルヒルから先でも風は無風に近い。ウィンディーコーナーの手前から霧が出始める。4000m付近で4年生1名のペースが落ちたため、荷を抜き出発するが、次に4200m付近で2年生1名のペースが落ちる。その後ゆっくりとしたペースで進むが、平坦な箇所で別の2年生が鼻血を出したため、休憩をとる。10分程で止血したため、出発する。霧で視程が200m程となり、周りがほとんど見えない中を慎重に進み、MCへと到着する。

CT)C3(9:07)-モーターサイクルヒル(10:10)-MC(14:20)

6月2日(木) 快晴 【予備2:休養】

本日はMCに入り、高度を上げたため、高度に順応するため休養とする。起床後は意識的に水分をとりながら過ごす。昼前に隊長がメンバーの体調や天候などを考慮し、全員でHCに上がり、全員で頂上を目指すことを決定する。昼過ぎから器具係が中心となって荷揚げる官物の仕分け、重量表の作成を行う。その後は定時に夕食をとり、ミーティングを行う。その後、アッセンダーでのFixの通過方法の確認を行い、就寝する。

6月3日(金) 曇時々雪 【実6:HC荷揚げ】

アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。ウエストバットレス上部にはFixが張ってあり、アッセンダーを通しながら通過する。Fix1P目に大きなクレバスが空いているため、注意しながら進む。稜線上に出ると風がとても強く、体感気温が下がり顔がとても冷たいため、サングラスを外しゴーグルに付け替える。西側から徐々に雲が立ち込めてくる。稜線上は岩峰が立ち並んでいる。第1岩峰を通過し、続いて第2岩峰を登っている際に、天候が悪化し、退路が霧で見えなくなりそうになったため、第2岩峰手前に荷揚げる官物をキャッシュし、引き返すこととする。強風のため官物が飛ばされないように気をつけながらキャッシュし、引き返す。稜線上を引き返す際は、レンジャーが打った支点にザイルを通しながら進んでいく。Fix箇所も慎重に下り、MCに帰幕する。

CT)MC(8:15)-第1岩峰(11:30)-第2岩峰から引き返し(12:40)-MC(14:40)

6月4日(土) 雪後晴 【予備3:休養】

本日は、メンバーの体調を整えるため、休養とする。通常より遅く起床し、その後水分補給をこまめに行いながら、各自HC入りの準備をする。レンジャーに天候について伺ったところ、翌日は曇、翌々日からは3日間晴れるという。

6月5日(日) 曇 【実7:HC入り】

キャッシュする官物をテントと穴に入れた後、アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。空は一面雲で覆われていて、雪も少し降っている。昨日の降雪でウエストバットレスの下部には吹きだまりができていて、足首から脛ほどのラッセルで進む。曇っているため気温が上がらない。雪崩に注意しながらFix箇所まで進む。Fixされているロープが凍っているため、ロープに体重をかけ過ぎないように注意しながら進む。稜線上まで登ると、降雪が多くなってくる。風は一昨日よりは弱い。第1岩峰、第2岩峰を順調に進むと、細くなっている箇所や、岩稜が露出している箇所もあるため、慎重に進んでいると、2年生2名の呼吸が荒くなってくる。そのため、小休止を小刻みに入れて休ませたり、呼吸を深くするよう意識させながらゆっくり進み、HCに到着する。到着後は、一昨日にキャッシュした官物を回収するメンバーと、HCに残り、テント設営をするメンバーで分かれる。

CT)MC(8:20)-第1岩峰(11:20)-第2岩峰(12:10)-HC(14:20)

6月6日(月) 晴後雪 【実8:登頂後、下山中に2年生2名がヘリコプターで搬送される】

サブ梱包し、アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。デナリパスまでのトラバース箇所には支点が打ってあるが、その箇所から渋滞となっており、HC付近まで続いていた。デナリパス手前では、陽が当たらず、肌寒いため、各自体温調節をしながら、列に並びゆっくりとしたペースで進む。トラバース箇所では谷側に滑落しないようにレンジャーによって支点が打たれている。支点にザイルを通しながら進み。デナリパスを通過し、マッキンリー南峰へと続く稜線上の岩陰で大休止をとる。その後は斜面が広く、緩やかになるが、呼吸を整えながら、ゆっくりと、確実に登り、フットボールフィールドまで進み、一本とる。風が強まってきていることや、時間が遅くなってしまったことから、三戸呂OB、川村OB以外はフットボールフィールドにザックをキャッシュし、空身で登ることとし、それ以降天候や、メンバーの体調が悪化した場合即引き返すこととする。頂上までの渋滞が頂上稜線下の平坦な箇所まで続いていたため、それに並びながらゆっくりと進む。頂上稜線は細いため、登りと下りの登山者で混雑している。互いに譲り合いながら進んでゆき、頂上に到達する。頂上で記念撮影をした後、すぐに引き返す。慎重に下っていくが、2年生2名が少しフラついていたため、呼吸を整えさせながら慎重に歩く。ザックをキャッシュしていた箇所で一本とる。その際に、2年生1名が呼吸がうまくできず、ペースもかなりおちていたため、荷を抜き、出発する。しかしその2年生のペースが上がらず、先行パーティと離れてしまう。その際に後行パーティがパトロールをしていたレンジャーに、2年生1名がフラついていたため声を掛けられる。ボランティアのドクターに診てもらったところ、高山病と判断され、HCまで安全に下りることは難しいと考えられ、ヘリコプターを要請してもらい、搬送させる。先行パーティは、後行パーティの姿が見えなくなったため、立ちながら待っていると、また同じように、別の2年生の様子を見たレンジャーに声を掛けられ、ドクターに診てもらうと、高山病の症状がでていたため、ヘリコプターで搬送される。搬送された後、2年生の荷物を残ったメンバーで振り分け、下り始める。デナリパスあたりから雲が上空を覆い始め、HCへのトラバースでは、雪が降り出す。先行する別のパーティがいたため、ゆっくりと下り、HCへと帰幕する。

CT)HC(9:00)-デナリパス(13:00)-フットボールフィールド(16:00)-マッキンリー南峰(18:50)-フットボールフィールド(20:15)-HC(翌2:20)

6月7日(火) 晴後雪 【実9:HC-MC】

 昨日の実動では帰幕が日をまたいでしまったため、通常より遅く起床する。三谷隊長と、三戸呂OBがレンジャーに、搬送された2名の状況を教えてもらおうとするが、下山して病院にいること以外は、はっきりとした状況は聞くことができなかった。その後ミーティングを行い、残りのメンバーで、予定通りの実動を行うこととする。撤収、梱包後、アイゼン、ハーネス、ザイルをつけて出発する。重荷であるため、細い箇所ではゆっくりと確実に足を置き、進む。Fix箇所の手前では、たくさんの登山者がいて、混雑している。列に並び、Fix箇所を通過した後、順調に進み、MCに到着する。

CT)HC(14:20)-MC(17:30)

6月8日(水) 晴 【実10(1):MC-C3】

 重量の関係から、実動を2日に分け、本日はMCからC3、翌日にC3からランディングポイントまで下山することとする。撤収、梱包した後、レンジャーに2年生2名の状態を聞いたところ、退院していることが分かり、一安心することができた。アイゼン、ハーネス、ザイルをつけ出発する。MCには2つソリを揚げていたため、1つのソリの前後に2名つき、2人で1つのソリを運ぶこととする。天気が非常に良く、気温が高い。ウィンディーコーナーまでの平坦な箇所に大きなクレバスが空いていたため、そこに排泄物を捨てる。重荷の上、ソリも引いているため非常に歩きにくいが、ゆっくりと確実に下るっていき、C3へと到着する。

CT)MC(11:15)-モーターサイクルヒル(13:20)-C3 (14:30)

6月9日(木) 晴 【実10(2):C3-ランディングポイント-下山】

 本日はカヒルトナ氷河の本流を歩くため、クレバスが空きにくい早朝から歩き出すため、大幅に起床を早める。撤収、梱包をして、スノーシュー、ハーネス、ザイルをつけ出発する。下りではソリの操作にやや苦戦しながらではあるが、早いペースで下っていく。途中で3年生のスノーシューが何回も外れ、止まることがあった。快晴で気温がとても高い。登りで通ってから約2週間経つため、氷河上にはクレバスが多くなり、周りの山々についている雪も融けている。良いペースで進み、ランディングポイントまで下山する。

CT)C3(5:30)-C2(6:20)-C1(7:40)-ランディングポイント(12:30)

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