2009年度 九月強化山行(9/14-9/21)

メンバー:野口 冨家 千葉 佐々木 宮津

9月13日(日)

 部室を出発し上野駅に向かう。上野駅から急行能登号で離京する。

9月14日(月) 晴 【入山:室堂ターミナル-剱沢BC】

 富山駅に到着後、予定通り乗り継ぎ室堂ターミナルに到着する。室堂派出所に挨拶し準備をした後出発する。野営場管理所で1本とった後、雷鳥沢を順調なペースで登り別山乗越に到着する。剱御前小舎に挨拶して、剱沢を下り剱沢BCに到着する。テント設営後、剱沢小屋へ挨拶に行く。

CT)室堂ターミナル(9:45)-野営場管理所(10:35-10:50)-別山乗越(12:48-12:55)-BC(13:26)

雷鳥荘と雷鳥沢 雷鳥沢の登り 雲のかかる剱岳

9月15日(火) 雨時々曇
【本隊;八ツ峰-峰Cフェース剣稜会ルート登攀、上級生隊; チンネ左方ルンゼ登攀】

本体:野口 佐々木 宮津

 朝から小雨が降っているため、雨具を着て出発する。順調なペースで夏道を下り、平蔵谷出合でアイゼンを履く。途中から雪渓が切れたためアイゼンを外し、八ッ峰-峰Cフェース付近までガレ場を登る。-峰到着時点で雨が降っており、ガスが濃いため天気待ちをする。1時間50分ほど天気待ちを行い、雨も弱まりガスが薄くなったため、Cフェースの登攀を開始する。順調に登攀していき、Cフェースの頭に到着する。ここから-・-のコルへと懸垂下降を交えながら下る。その後、長次郎谷を下り始める。剱沢を登り返している途中、平蔵谷辺りから助けを呼ぶ声が聞こえたため、1、2年生を安全な場所で待機させ4年生1名が確認しに行く。すると要救助者1名を発見したため、1、2年生を待機させたまま、4年生1名が急いで剱沢を登り返し、剱沢小屋及び山岳警備隊に通報する。一刻を争うような状態であれば、診療所まで搬送する必要があるということで、先に帰幕していた上級生と共に山岳警備隊の方に同行し遭難現場へと向う。途中、待機していた2年生1名、1年生1名と合流し、4年生1名と1年生1名はBCへと帰幕させ、他の上級生3名が遭難現場へと同行する。現場到着後、警備隊の方の判断で、今晩は警備隊の方が要救助者とビバークし、早朝にヘリコプターでピックアップするということであったため、上級生3名はBCへと引き返す。

CT)BC(4:45)-長次郎谷出合(6:12)-Cフェース取り付き(10:32)-Cフェースの頭(14:05)–・-のコル(15:20)-BC(23:18)

長次郎谷を登る 八ツ峰-峰Cフェース、剣稜会ルートをいく

上級生隊:冨家 千葉

 早朝から雨が降っている。サブ梱包し、ヘルメットを着け雨具を着て出発する。剱沢を下っていき、途中からアイゼンを履いて雪渓に入る。シュルンドに注意しながら下り、長次郎谷出合のやや下から再び夏道を行く。思ったよりも時間がかかってしまい、近藤岩に着くころには6時になってしまう。橋を渡りそこから沢沿いに登り、小さな沢を2、3度渡渉して三ノ窓雪渓へと出る。アイゼンを履いて登っていくが、雨は降ったり止んだりを繰り返し、風もあり服が湿っていて寒い。三ノ窓雪渓の上部は濃いガスに覆われている。雪渓の突き当たりから岩に移り、ガレたルンゼを登り三ノ窓に出る。チンネはガスで全く見えず、岩が濡れているようなのでしばらく天気待ちをする。ややガスが薄くなったため左方ルンゼの取り付きを探し、登攀を試みるが濡れているため危険と判断し引き返す。三ノ窓雪渓を下降するよりも、本峰を経由して別山尾根を下降する方が安全であると判断し、池ノ谷ガリーを登り、別山尾根を経由してBCへと戻る。

CT)BC(3:58)-近藤岩(6:03)-三ノ窓(9:10-10:10)-左方ルンゼ取り付き(10:45)-三ノ窓(12:50) -池ノ谷乗越(13:45)-剱岳(15:30)-BC(17:46)

三ノ窓雪渓下部 チンネ下部にて取り付きを探す ガスに覆われた剱山頂

9月16日(水) 晴 【休養】

 本日は前日の疲労を考え、休養とする。全員で9:10の天気図を書く。

9月17日(木) 晴 【本隊;源次郎尾根縦走、上級生隊;チンネ左稜線登攀】

本隊:冨家 千葉 宮津

 サブ梱包しヘルメットを着けて出発する。剱沢を下っていき雪渓に入るが、雪面が硬いためすぐにアイゼンを履く。源次郎尾根取り付きに到着し、取り付きからは雪が無いためアイゼンを外す。登り始めてすぐに、濡れた露岩を乗越す箇所があったためザイルを出す。その後は草つきの急斜面や、木登りをするような、枝の入り組んだ斜面を進み、登攀的要素のある露岩ではザイルを出して登っていく。そのうち尾根が開け、藪と岩の斜面を登り-峰に到着する。-峰からはやや急な岩場を上り下りし、-峰に到着する。-峰からは30m程の懸垂下降でコルへ下る。コルからはガレの堆積した斜面を慎重に登り剱岳に到着する。その後、別山尾根を経由してBCへと戻る。

CT)BC(4:55)-源次郎尾根取り付き(5:30-5:38)–峰(9:30)–峰(10:35)-剱岳(12:20-12:35)-剣山荘(14:20)-BC(14:45)

開けた岩の斜面を登る 源次郎尾根-峰から見た剱岳(左奥) 快晴の山頂

上級生隊:野口 佐々木

 三ノ窓雪渓の状態が悪いため、ルートを長次郎谷経由に変更する。サブ梱包して出発する。順調なペースで夏道を下り、平蔵谷出合からアイゼンを履く。長次郎谷の下部は雪が残っているが、上部はガレ場のため落石やスリップに注意して長次郎谷をつめていく。池ノ谷乗越からは慎重に池ノ谷ガリーを下り、三ノ窓に到着する。その後、チンネ左稜線の取り付きに移動し、休憩後準備をして登攀を開始する。下部は太陽があたっていないため、岩が非常に冷たい。確実にルートファインディングしながらザイルを伸ばす。T5より上部のリッジでは、ザイルの流れが悪いため、細かくピッチを区切りながら、慎重に登攀する。チンネの頭に到着後、三ノ窓の頭とのコルから池ノ谷ガリーへと降り、池ノ谷ガリーを登り返して池ノ谷乗越に到着する。その時点で引き返し時間となっていたが、長次郎の下りはガレており危険であると判断し、本峰を経由して帰幕することとする。池ノ谷乗越から良いペースで進み剱岳に到着する。頂上からは別山尾根をペースを上げて下りBCに到着する。

CT)BC(3:56)-長次郎谷出合(4:52)-池ノ谷乗越(7:08)-三ノ窓(7:28)-チンネ左稜線取り付き(8:24)-チンネの頭(14:53)-池ノ谷乗越(15:30)-剱岳(16:19)-BC(17:40)

長次郎谷上部 チンネ左稜線から北側を見下ろす 無事山頂へ

9月18日(金) 晴後曇 【本隊;本峰南壁A2登攀、上級生隊;北方稜線ロングラン1日目】

本隊:野口 宮津

 平蔵谷の状態が悪いため、ルートを別山尾根経由に変更する。サブ梱包して出発する。剣山荘に到着後、ハーネスを着ける。その際に、1年生1名の確保器が無いことが発覚し、BCへと引き返す。その後、この日の行動は打ち切りとする。

上級生隊:冨家 千葉 佐々木

 サブ梱包し、ヘルメットを着け出発する。良いペースで剱沢を下ってゆく。二股からは仙人新道を登る。天気は良く、日差しが暑い。良いペースで登り、9時前には池の平小屋に到着する。少し休憩してから出発し、小屋から1時間で池平山に到着するが、頂上の少し手前からガスが立ち込め、数10mしか視界が利かなくなったため、懸垂下降するルンゼを探すのに手間取り時間がかかる。池平山のすぐ脇のルンゼを少し下り、適当な木を支点にして懸垂下降し、踏み跡を辿ってコルに出る。そこから草付きの斜面を登り返して北池平山の山頂に到着する。その後は入り組んだ稜線上を藪漕ぎをしたり露岩を越えながら進んでいく。マッチ箱は東側を巻くようにして、懸垂下降を1P交えて越え、大窓の肩へと到着する。ガスが濃いため、慎重にルートファインディングするが、大窓への下りは踏み跡が見つからない。方向の検討をつけて濃い藪の中を下ってゆき、やがて草付きのゴツゴツした斜面に踏み跡を見つけて下ってゆく。しばらく下り、再び非常に濃い藪を超えると、大窓に到着する。そこからの登りは尾根の東側の斜面を巻くように登り、非常に濃い藪漕ぎをして小さなピークに到着する。次の白ハゲの手前のピークへは、露岩を西側から巻いて草付きと藪を登る。リッジ状の岩峰を通過して、やがて草に覆われた白ハゲの頂上に出る。白ハゲは非常に広く丸いピークである。赤ハゲの方向は非常にガスが濃く、先の様子は全くわからない。この時点で16:50であったが、これまでの道程から、翌日の引き返しには予想以上の時間がかかると判断し、今日のうちに大窓まで引き返しビバークすることとする。来た道を引き返し、懸垂下降を3P交えて大窓まで戻りビバークする。

CT)BC(4:55)-近藤岩(6:51)-池の平小屋(8:36-8:50)-池平山(9:50)-北池平山(11:58)-大窓の肩(13:20)-大窓(15:15)-白ハゲ(16:50)-大窓(18:40)

仙人新道から三ノ窓雪渓を望む ガスの晴れ間をついて北池平山を望む 雲に浮かぶ白ハゲ

9月19日(土) 晴 【本隊;池平山往復、上級生隊; 北方稜線ロングラン2日目】

本隊:野口 宮津

 サブ梱包して出発する。順調なペースで夏道を下る。平蔵谷出合付近から長次郎谷出合の下部までは夏道が出ていないため、アイゼンを履いて雪渓を歩く。長次郎谷出合の下部からは夏道を行くが、所々路肩から切れている箇所もあるため、慎重に進む。順調に進み、近藤岩付近で1本とる。その後、仙人新道から池の平小屋を目指す。樹林帯では風が無く蒸し暑い。良いペースで登っていき、稜線上からはトラバース道を経由して池の平小屋に到着する。小屋からしばらく登った所で休憩し、池平山へ向かう。単調な登りのため、ペースを上げて登っていき、池平山にて上級生隊と合流する。しばらく休憩したあと下り始める。部分的ではあるが、急な露岩帯もあるので、慎重に下る。池の平小屋にて1本とり、仙人新道を下る。順調なペースで下り、近藤岩付近で1本とる。剱沢を登り返す途中で、多くのパーティーとすれ違う。一定のペースで登り、BCに到着する。

CT)BC(4:51)-近藤岩(7:10)-池の平小屋(9:10-9:20)-池平山(10:28-11:00)-池の平小屋(11:35)-近藤岩(13:20-13:35)-BC(16:33)

剱沢を下る そびえたつ八ツ峰 池平山へと続くのっぺりとした斜面

上級生隊:冨家 千葉 佐々木

 本日は昨日来た道を引き返すこととする。食事をとり、梱包して出発する。夜中は寒かったが、しっかりと食事をとったおかげで体はよく動く。非常に天気がよく暖かい。大窓の肩へ向け藪の中を登り始める。藪を抜けるとゴツゴツとした草付きの斜面となり、さらに上部に行くとガレた赤い岩の斜面となる。思ったよりも早く大窓の肩に到着する。急な箇所では懸垂下降を交えながら良いペースで進む。昨日懸垂下降したマッチ箱の巻き道では3、4mほどの簡単な登攀となる。池平山への登り返しは、昨日懸垂下降したルンゼの、東側の斜面の木を伝って登っていき、早い時間に池平山の山頂に出る。本隊が来るまで山頂で待ち合流する。

CT)大窓(5:08)-大窓の肩(6:20)-北池平山(8:15)-池平山(9:41)

大窓から大窓の肩への登り 北側から見た北池平山 マッチ箱を振り返る

9月20日(日) 晴  【本隊;本峰南壁A2登攀、上級生隊;チンネ左方ルンゼ登攀】

本隊:野口 佐々木 宮津

 平蔵谷の状態が悪いため、ルートを別山尾根経由に変更する。サブ梱包し、ヘルメットを着けて出発する。剣山荘から別山尾根沿いの登山道は登山者が多く、なかなかペースが上がらない。武蔵のコルでハーネスを履き、鎖場はカラビナをかけて通過する。前剱の登りはガレているため、落石に細心の注意を払い登って行く。1本で平蔵のコルに到着する。その後、南壁の取り付きに移動し、休憩後、登攀を開始する。上部はやや岩が脆い箇所があるため、慎重に登攀する。終了点からはコンテニュアスで剱岳頂上まで向かう。頂上は、非常に大勢の登山者で賑わっている。休憩後、別山尾根を下るがカニの横ばいで渋滞していたことと、滑落事故の発生により、平蔵のコルまで3時間程かかる。平蔵のコルからは、一定のペースで下りBCに到着する。

CT)BC(4:52)-剣山荘(5:05)-取り付き(7:42)-剱岳(11:05-11:55)-剣山荘(16:50)-BC(17:14)

別山尾根から見た剱岳頂上南壁 セカンドの宮津 リードの佐々木

上級生隊:冨家 千葉

 三ノ窓雪渓の状態が悪いため、ルートを長次郎谷経由に変更する。サブ梱包し、ヘルメットを着け出発する。剱沢を下っていき、途中からアイゼンを履いて雪渓に入る。シュルンドに注意しながら下り、長次郎谷出合からそのまま長次郎谷を登っていく。上部には他の登山者のヘッドランプの灯りがいくつか見える。300mくらい登った所で源次郎尾根側の岩の上に出て、アイゼンを外し踏み跡を辿る。良いペースで登っていき、7時頃に池ノ谷乗越に到着する。池ノ谷ガリーからは冷たく強い風が吹き上げてくるため、雨具を着て慎重に下っていく。三ノ窓からは雪渓を横切り、ガリーを少し詰めて左方ルンゼの取り付きへと向かう。風が強く寒い中、取り付きで準備をして登攀を開始する。しかしここで1P目のルートを間違える。初めはややハングしているが、残置ハーケンが数個あり、上部にルートらしきルンゼがあったため、あっていると思い込み無理やり越えてしまう。しかしハングから3mほど登ったすぐ上はバンドになっており、どうやら左下カンテの1P目であると気付く。バンドには残置支点が豊富にあり、トップの千葉が懸垂下降で取り付きへと戻る。ここで1時間ほどタイムロスをしてしまう。その後、右側の浅いルンゼが正しいルートであると確認し、改めて登攀を開始する。初めは浅くガレたルンゼであったが、途中から屈折し奥まったルンゼとなる。想像以上に悪く、狭くツルツルのルンゼで、ザイルの流れが悪く残置支点もほとんどない。結局2人が登るのに1時間以上かかってしまう。2P目、3P目は比較的早く抜け、中央バンドには12時半頃に到着する。本来は12時に中央バンド未着時は引き返す予定であったが、懸垂下降に思ったよりも時間がかかりそうだったことから、上にぬけた方が早いと考え、登攀を続行する。ピナクルまで登るとルートには先行パーティがいたが、それほど時間はかからないだろうと考えて後に続く。しかしやや待ちながら登ることとなり、15時頃チンネの頭に到着する。懸垂下降で池ノ谷ガリーに降り、16時過ぎに池ノ谷乗越に到着するが、長次郎谷の状態を考え、下るのは危険であり時間もかかると考え、別山尾根を経由してBCへと戻る。

CT)BC(3:50)-長次郎谷出合(4:45)-池ノ谷乗越(7:03)-三ノ窓(7:23)-左方ルンゼ取り付き(8:15-9:23)-中央バンド(12:33)-チンネの頭(15:39)-池ノ谷乗越(16:15)-剱岳(17:12)-BC(18:49)

チンネ全景 予想以上に悪い左方ルンゼ 2ピッチ目 もろいクラックは今にも崩壊しそうであった

9月21日(月) 晴 【剱沢BC-剱岳-早月小屋-馬場島】

 平蔵谷の状態が悪いため、ルートを別山尾根経由に変更する。テント撤収後、梱包し出発する。多くの登山者がいるため気をつけながら登っていく。武蔵のコルでハーネスを履き、鎖場はカラビナをかけて通過する。平蔵のコルに到着し、カニのタテバイは1年生を空身にさせ、2年生が1年生を上から確保して登らせる。その後、岩稜帯を登り剱岳に到着する。休憩後出発し、早月尾根を下っていく。早月尾根上部の鎖場はカラビナをかけて通過する。この日は多くの登山者がおり、鎖場付近では20名くらいの団体とすれ違う。その後も慎重に下り、早月小屋に到着し挨拶に行く。早月小屋からは難所が少なく、ペースを上げ馬場島を目指す。急な箇所は慎重に下り、馬場島に全員元気に下山する。

CT)BC(4:50)-剣山荘(5:20)-剱岳(8:26-8:40)-早月小屋(10:37)-馬場島(13:49)

カニのタテバイの大渋滞 剱岳山頂から北方稜線を望む 中央が赤谷山 獅子の頭 早月尾根上部は慎重な下降を要する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

最近のコメント

    アーカイブ

    カテゴリー